11/30 (Fri) ｢11/30（金） 貴様……｣

今日、電車に乗っていたときのこと。

どういうわけか、発車が遅れていました。

空いているはずの時間帯ですが、遅れたせいで座席がほぼ埋まっている状態でした。

疲れていたので発車を待つうちにウトウトしかけました。

「このまま発車しても７分は寝られる、しめしめ」

そのくらい疲れていました。

すると競歩のような速度で男が乗り込んできました。

そして、たまたま空いていた私の隣へ滑り込むように座りました。

そんなに座りたかったのか、で済む話なんですけど、いつもなら。

その男、手に耳かきを持っていました。

白いフモフモのついた耳かき。

耳かきをしながらその速度で歩くのは、危険でしょう。

しかもドサッと座った、危険でしょう。

そもそも、耳かきを屋外へ持ち出すことってあります？

どんだけ多忙なんだこの男。

電車が走り出してからも、彼は私の右側で左耳をかき続けている。

なんとなく、、、、、汚いような気がしてきました。

こっちに飛んでくるんじゃないかと。

家の中で家族が耳かきをしていたってこんなこと思ったことないのに。

ひどく不愉快で、だんだん気分が悪くなってきました。

だって、真横だもの、仕方ない。

電車が揺れるでしょう。

ここで私が眠ってしまって舟を漕げば、彼の方に倒れてしまう可能性もある。

そしてその拍子に耳かきが耳の奥までグサーーーッと刺さるところを想像してしまう。

耳から血が出るところを想像してしまう。

ますます気分が悪くなりました。

それでもせっせと耳をかく。

もうだめだ。

席を立つしかないと思ったところで、電車は最寄駅の一つ手前の駅。

耳かきをしながら、競歩な速度で男は降りていきました。

「貴様……」

およそ普段は思考に浮かんでこない代名詞をもって彼に呼びかけました、心の中で。

「転んで大怪我してしまえ！ただし、私の視界の範囲外でな！コンチクショー！！」

罵声を浴びせてやりました、心の中で。

 

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